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飽食の時代 現在の日本は飽食の時代と言われます。食のみでなく、あらゆる物資が巷を、ショップを、ディスカウント店を充たしています。お金を出せば何でも手に入る、定職を持たずともお金が稼げる、という考えが通念になっているといえます。このような環境で育った子供たちは何不自由なく、少子化の影響もあり、何かをほしいと言えば親が買い与えてくれることを何の不思議とも思わないのでしょう。そんな子供たちが成人して起業家になるでしょうか。その可能性はほとんどないでしょう。なぜなら起業は自分でするものであり、だれかが与えてくれるものではないからです。 戦後の日本ではソニーやホンダに代表されるベンチャー企業が多く創業しました。その頃は大学を卒業してもおいそれと職が見つからなかったことは事実です。しかし、起業した人たちには崖っぷちに立たされたハングリー精神に充ちた、後へ引けない思いがあったでしょう。大学を卒業しても職がない、という状況だけはここ数年の日本の状況に似ていますが、飽食の時代の失業ではありません。フリーターやニートでもアルバイトで食べていける社会ではリスクの高いベンチャーを志す必要はなさそうです。 いったん企業に就職し、仕事を覚え、技術を習得すると、ビジネスのアイディアは必ず一部の人に湧いてくるものです。飽食の時代にはそれをベンチャービジネスとして立ち上げようという気持ちよりも、会社が誰かに事業化させてくれれば満足、という心境が一般的だそうです。自分でわざわざ危険を冒して起業するなど考えたくもないのでしょう。 このように考えてくると、日本でベンチャーを起こすのはごく一部の、いわば創業狂、とでもいうべき人たちだけなのかもしれません。あるいはアメリカ帰りのベンチャーかぶれの人たちも居そうです。ベンチャー起業家は大昔で言えば一攫千金を狙った航海に乗り出す船乗りであった時代もあり、恐れを知らぬ冒険家の側面をもっていなければなりません。現代のベンチャービジネスはデータを使って周到に計算されたリスク評価がされていないと投資家に相手にしてもらえませんから、単なる勇気だけでは不十分なことは言うまでもありません。創業狂やベンチャーかぶれでも、事業計画が的確で、リスク評価がされ、創業者のガバナンスが十分であれば事業家の必要条件を満たしているといえます。 フリーターやニートの中には誰かに誘われればリスクを冒してもよい、と考える人がいるのではないでしょうか。企業に在籍する技術者の中にも誰かと一緒ならリスクを取ってもよい、という人もいるかもしれません。創業に参加する人は創業者と同じリスクを冒すのですから、自らのシーズではなくとも、持っている能力を提供して創業グループに入ることはできます。いったん創業期を経験することにより、ベンチャーの面白さを体得できれば、次は自分で起業、というシナリオも描けるのではないかという期待が生まれます。 このように飽食の時代にもどこかに突破口があるかもしれないと思うのは楽観的過ぎるでしょうか。 |
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