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正義と公正(4) NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介 鈴木さんのコメントの最後の部分です。日本流が世界に通用すれば日本人にとっては大変便利で、いろんな局面で有利になるでしょう。それを実現するには国際感覚のある人が少なすぎる、というのが現実です。先ず、語学力とディベート力が要求され、その上に日本文化に卓越した経験と見識を持っていなければ、外国で説得力のある議論を展開することは出来ません。また、皮肉なことに、それが出来る人の多くは恥の文化を共有できない可能性があります。結論的に言えば、恥の文化、和をもって尊しとす、などを国際的に理解させ、通用させることはできない、ということになります。日本人にとっては悲しいことですが、それが現実ではないでしょうか。悪貨は良貨を駆逐する、朱に交われば赤くなる、が現実です。以下鈴木さんの文です。 世界的に共有できる価値観というものはかなり限定されているところに人類の悩みがあるといってよいのではないでしょうか。世界が平和に共存していくための最低限のルールが国際法でしょうが、これとてもその運用については複雑な利害関係が絡んで国連の中でも常に紛糾するところです。こうした状況を考えると日本的な理外の理、論外の論といった情理、“あるいは和をもって尊しとす”という日本古来の価値観の効用も捨てがたいものがある気がします。論理だけでは限界があり、論理を超えた何かが人間社会には必要ではないでしょうか。先日ある新聞にのっていた寸評が印象に残りましたのでご紹介します。 “(和解は民事裁判を決着させる極意だ)−ベテラン判事の言葉を借りて、そう書いたことがある。(智に働けば角が立つ。情に棹させばながされる)−これは夏目漱石の”草枕”。智に働きすぎ、主張がぶつかり合うと、対立は果てしなく続く。裁判所が情理を尽くして説き、当事者双方を納得させられるなら、和解はまさに(極意)といえるだろう。“これは 論理と情理のバランスを説いたものでしょうが、国際的には通用するかどうか疑問のあるところです。 さらに日本人の文化的特性についていえば、日本人は“空気”で動くということをかって唱えたのが“日本人とユダヤ人”で有名な山本七平です。これはまさにいい得て妙です。その場の空気、部屋の空気、周囲の空気、世の中の空気と色々あろうかと思いますが、要するに自分のまわりの状況、あるいは全体の流れを配慮しながら自分の取るべき考え、態度を決めてゆくということです。“赤信号、皆で渡れば怖くない”もそれにあたるでしょう。これは論理的思考を回避し、個人として自立していないことを意味するものであり、日本の民主主義の成熟を阻害してきた要因であろうと思います。 又、日本語そのものも論理性に欠けた言葉といえます。主語が無い、否定肯定が明確に表現されない、言葉の多くが省略される、等々枚挙にいとまがありません。日本文を英語に翻訳しようとする時によくぶつかる問題です。曖昧さを残した奥ゆかしさの中で意思の疎通を図ることができればそれにこしたことはなく、考えようによってはかなり高度な文化ともいえます。しかし日本人どうしの間では通じてもそれでは異文化の人に物事をクリアーに伝えることはできません。日本の古典の文章には美しさを感じますが、言外の意味が多すぎ、あまりに非論理的で現代人にはもはや理解し難くなっているのと似たようなものではないかと思います。 論理なくして異文化間の共通認識は生まれ難く、日本は自らの文化の欠点を自覚して、論理的思考力により国際社会の舞台でディベート出来るような人材を育成することが求められているという八幡さんの論調には説得力があります。一方、だからといって自国の文化、伝統を全て否定することがあってはならないと思います。自国の文化を尊重することは他国の文化を尊重することにも繋がりますし、自国の文化を軽んずる人は国際社会のなかでは尊敬されないのではないかと思います。西欧社会のなかで最も論理性の高いといわれる言語を持ち、高い論理思考力を有するフランスで、最も論理性のないと思われる禅に関心を持つ人が非常に増えているというのは注目すべきことです。近代社会を作り上げた西欧文化のさまざまな価値観に自信を持つものの、それが全てではないという謙虚さを持つ人々が西欧社会にも多く出てきたといえるのかも知れません。そうした人々が増えれば西欧社会における異文化への配慮も大きくなり、人類の相互理解が一層促進されるのではないかと期待するところです。 以上長々と述べましたが、難しいテーマで議論は尽きることのないような無い気がします。私の述べた内容も論理性に欠けたところがあるのは日本人の“さが”でしょうか。 (鈴木さんのコメントの終わり) |
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