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創造性と管理(2) NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介 人間の創造性がどのようにして涵養されるのか、教育者にとっては難題です。昨今脳の研究が進むにつれ、ヒトの脳は3歳児までにほぼ完全に形成され、それ以降は知識が脳に刻まれるのみ、と言えそうな研究結果もあるといいます。すなわち、芸術のような創造性は3歳児までに決まってしまうという恐ろしいことかもしれないのです。悪用すれば、天才芸術家を作り上げることも可能かもしれません。創造性は測る尺度がありません。すなわち創造性を見つけることはたいそう困難なことです。モーツァルトは6歳で作曲したといいますが、彼が天才であることは歴史の証明するところです。しかし、モーツァルトが3歳までどのようにして育てられたかは霧の中です。 しかし、創造性のもつ特性を考えてみれば、何かヒントが得られるのではないでしょうか。たとえば、3歳までに動くもの(生物、器具など)、美しいもの(音楽、彫刻など)、自然(小川、森など)などに触れる機会をできるだけ多く作るのです。幼児にとっては見るもの聞くもの触るものすべてが興味の対象になるはずです。親が危険を避けることにのみ注意して、幼児が興味を持つものを取り上げたり、機会を作らないようにしたりすれば、興味は萎んでしまいます。親は子供を自分の管理下におきたがります。世の親が子供の安全を願うのは当然のことですが、世の中の仕組みや自然のありようを幼児の時代に、身近に感じられるようにすることが将来の人生に大きな影響を与えると悟ったら、親の考えは変わるのではないでしょうか。 2007年6月14日のブログでビル・ゲイツ、エリック・シュミット、スティーブ・ジョブズの世界3強企業のトップについて触れましたが、その誰をとっても、10代に将来創造性を発揮する人物であることをうかがわせる点は見られなかったそうです。20代に入っても、誰が世界3強の一つになる事業を興せると予測したでしょう。若い頃の写真を見ても普通の若者にしか見えません。また、ゲイツの青年時代にこの若者の事業に投資しようと思った人はいなかったと、若い頃の彼を知る人も言います。マイクロソフトが創造的な技術を開発し、商品化して現在の会社を作り上げたことは万人の認めるところですが、その創業期には、そのような成功を収める会社とは思えませんでした。 LSIロジック(現LSI)の創業者であるウィルフレッド・コリガン氏は創業期を回顧して、創造性のある人間は何を言い出すかわからないが、その欲求を満たしてやると素晴らしい仕事をしてくれる、と以下の例を引きました。すなわち、開発者が特別の自転車で通勤するので、自分のキュービクル(間仕切りした事務所)に自転車を持ち込みたい、と言ってきた時にそんなことは誰もしていない、駐車場におきなさい、と言ったとしたら、彼の創造性をそぐことになる、コリガン氏は続けて、もし日本の会社でこのようなことが起ったら、人事部か総務部が規定上それは出来ない、という答えが出るだろう、それでは創造性は発揮される環境を作ることはできない、といいました。実際、LSIロジックの創業期に、サイクリング用の自転車を事務所内に持ち込んだソフトウェア技術者がいたそうです。ベンチャーの創業期には何でもあり、の文化を創ることが創造性を育て、発揮する環境を整えることになる、との教えです。管理下で創造性を発揮させることはできない、との見方でしょう。ちなみにコリガン氏率いるフェアチャイルド社、LSIロジック社からは数え切れないほどの起業家が出ています。LSIロジックの日本法人からも3名の起業家がそれぞれの道を歩んでおり、その中の一人は株式公開を果たしています。 |
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