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<<   作成日時 : 2008/02/29 00:58   >>

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官製教育だけでよいのか
NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介
学校教育の是非が問われて久しくなりますが、子供たちの平均学力、特定科目の学力はともに低下し続けています。数学オリンピックのように、突出した能力はある程度維持されているといえるようですが、学校教育そのものは明らかに劣化しているのは事実です。これを文科省の教科書検定と、学校運営だけの原因に帰することは、解決に繋がりそうにありません。親の共稼ぎと核家族化にも、原因の一部があるように思われます。学習塾が補完的役割を担っている、といえることは確かですが、それは勉強に限られ、勉強以外にも大切な教育、人生に欠かすことのできない哲学、などはなおざりにされています。
本来、教育というものは家庭と学校が補完的に行うべきもので、どちらが欠けても完全といえません。井深大さんが提唱された3歳児までの教育は最近のヒトの脳の研究で、正しかったことが証明されつつあります。この段階では学校教育は関係なく、家庭での教育にかかっています。三世代同居の昔は世代間で受け継がれた、伝承の知恵が役立っていましたが、核家族が単位の今では伝承は途切れつつあります。父親は会社大事の毎日で、家庭教育は母親の責任をなっている家庭がほとんどでしょう。動物の本能で、母親は子供を保護しようとします。動物界では父親が子供を強くするように仕込む種が多いようです。日本の父親の多くは、子供が目覚める前に出勤し、帰宅は就寝後、という毎日です。経験上3歳までの子供と接する機会を作っておくと、成人後も父子間の関係を良好に保つことができます。共稼ぎの場合は、子供の家庭教育は父母が応分に責任を持つべきです。応分という意味は両親が同じ責任を持つ、という意味ではなく、父親と母親がそれぞれに役割を担うという意味です。すなわち、母親がリスクから子供を遠ざけようとするのに対し、父親はリスクを理解させ、被害をこうむらないように知識と能力を持たせる、といった具合です。リスクを怖がる人間はベンチャー創業できません。リスクから逃げ回っていると、挑戦心が育たず、安全第一、現状維持の人生を過ごすことになります。
アメリカの友人達は子供を連れて泊りがけのトレッキングに出かけることが多いそうです。それは子供にサーバイバルの能力をつけるためだと説明します。アメリカの山や森にはトレイルマークと呼ばれる標識があり、地図さえ持っていれば、自分がどこにいるかを知ることができ、迷うことがないようになっています。実際若いときにアメリカへ留学し、夏休みにキャンプリーダーをした時に、初めてのハイキングコースでも迷うことがなかった経験をしました。また、リーントゥーと呼ばれる設備がところどころにあり、雨露がしのげ、薪を備えたバーベキューストーブも用意されています。退去する前に次の人のための薪を補給しておくことは勿論です。このような経験を子供にさせることにより、生存能力を身につけさせ、他人に対する思いやりも覚えさせる、という社会はベンチャー精神が芽生えやすい社会、といえるでしょう。便利でモノにあふれる日本社会でベンチャーが芽生えないのは当然の帰結といえそうです。
子供の生育過程の早い時期にテレビ、ゲーム機、携帯電話、パソコンなどを与えてしまうと、人工的なものにどっぷり浸かり、自然に接する機会がなくなってしまいます。その結果、自分は何のために生きるのか、将来何をしたいのか、といった、生きる目的を考え、見つめる機会がなくなるような気がします。自然の中に長時間身をおくことによって、生きる目的を見つめる機会が生まれることに気づく父親がいるかどうかは、日本の将来を左右する問題といえないでしょうか。

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