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ハワイ島で出会った若者たち NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介 2007年11月にハワイ島へ行ったときのことです。私たちの娘はハワイ島サウスコナのホナウナウ村でコナコーヒーの農園を経営しています。経営といってもアメリカ人の夫と夫婦だけの、ささやかな父ちゃん母ちゃん経営です。貸しバンガローも持っていて、我々は行く度にそこに泊めてもらいます。電気はソーラーと緊急用発電機、水は雨水を大きなタンクに溜めてろ過するというLOHAS(Lifestyle Of Health And Sustainability)な生活で、学生時代に夏休みを過ごした、YMCAのキャンプを彷彿とさせる日々です。バンガローでは石油ランプを使いますが、母屋には電気と水道もあり、インターネット接続もADSLという環境が整っています。農園の日常生活はリサイクルシステムを心がけ、野菜は菜園で取れた無農薬野菜、庭にはバナナ、アボカド、オレンジ、パッションフルーツなど、これも無農薬の果物が季節ごとにたわわに実り、食べ放題の楽園です。日本からLOHASを目指して訪れる客もあり、私などとは人種が違うと思われる若者にも遭遇します。 4WDのレンタカーで走っているとき、農園のすぐ近くでヒッチハイカーのアメリカ人女性を拾いました。丁度方向が同じだったので、15分ほど話を聞く機会ができました。30歳を過ぎていると思われますが、結婚するのは煩わしいそうで、独りのハワイでの生活を楽しんでいるそうです。仕事も定職というよりはパートタイムで、いわゆるニートに近い生活でしょう。しかし、暗いところはまったくなく、移動は歩くかヒッチハイク、ハワイの気候の中で暮らすには困らず、時にスキューバダイビングを楽しむ、という羨ましいような生活だそうです。また、農園に日本から来たという若い女性の話もこれと似たようなもので、ハワイのコーヒー農園で仕事をさせてもらい、給料の代わりに宿泊と食事が無料という生活を楽しんでいるそうです。この女性もそのような生活にどっぷり浸かって悔いはないように見えました。ハワイに来るのは2度目だそうで、日本でどのような仕事をして旅費を稼いでいるのかは聞き損ねました。このように文明に背を向けて、LOHASを追求する若者が増えている社会現象は環境重視の世界中で起こっていることかもしれません。 彼らが世界にどのような貢献をしているか、という哲学的な議論をする気はありませんが、生産性にほとんど貢献していないことは確かでしょう。そのような生活を可能にしたのは、先人の努力の蓄積があるからではないでしょうか。人は先人の蓄積を使うと共に、そこに何らかの貢献を上積みして、後世に残してこそ生きる価値があるのだ、と言うのはこのような若者には酷なことかもしれません。また、経済成長と生産性を追及し続ける文明社会への反逆、と見ることもできるでしょう。 彼らはどこから来てどこへ行こうとしているのでしょう。ポール・ゴーギャンの絵を思い起こします。先人が苦労して蓄積した社会の資産を使い尽くしたときに始まる新しい苦労を思うと、それは彼らの責任、と突き放せない危うさも感じます。今はまだLOHASの人口は少ないので、潮流にはなっていませんが、人生の価値観が多様化していることは確かです。多様化は喜んでよいことですが、電車にただ乗りする人が増えれば鉄道は崩壊することも考えなければなりません。社会はみんなで支えるものだからです。 |
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