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<<   作成日時 : 2008/05/10 13:36   >>

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生命より大切なもの
NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介
生命を大切に思うことは人として当然ですが、最近は自分の生命も他人の生命も、大切にしない事例が目立ちます。自殺の多さ、理由のない殺傷、動物の殺戮など身の毛のよだつ事件がニュースになります。教育でも社会でも生命を大切にしようと唱えているのに、なぜ人は人や動物を殺したり、傷つけたりするのでしょう。

もしかすると、生命の大切さを私たちは誤って教えられてはいないでしょうか。宇宙のありとあらゆる生き物の生命は、創造主が個々に与えられたものです。その意味では生命を持つすべての被創造物は、同じように大切にしなければならない、と言えるでしょう。

先日中村征夫さんの海の中の写真展を見に行きました。トークショーもあり、中村さんの生き様、少年時代の思い出も伺うことが出来ました。海の中の生物は地上と違う環境で、それぞれに必死に生きています。そして、他の生物に食べられるために、生まれてくる生物もたくさんあります。他の生命のために大切な生命を失う生物もいるわけです。中村さんは少年時代にトンボの羽をむしりとったり、尻尾を切って、どこまでやればトンボは死ぬか、と実際にやってみたりしたそうです。それは私にも記憶のある行動です。子供はこのようにして生命の感触をつかむのかもしれません。飛べなくなって地面に落ちるトンボを見て、とんでもないことをした、と後悔することが生命の大切さの実感に繋がるのかもしれません。

都会ではトンボを見ることはなくなり、自然の生命に触れる機会は極端に少ないのが現状です。テレビの劇画やゲームマシンでは殺人の場面が次々と出る内容のコンテンツがたくさんあります。このようなコンテンツに接していると、生命の大切さが分かるでしょうか。むしろ、生命を奪うことは日常茶飯事、と言う感覚が養われるのではないかと危惧します。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。生命が大切であることは言わずもがなですが、それさえも無視するような事件が多発しています。裏を返すと、生命より大切なものを忘れているのではないでしょうか。生命を犠牲にしても守らなければならないこともあります。義に生きる、信念に生きる、などの表現は正義を守るためには生命もいとわない、と言って死んでいった人たちや、江戸時代に弾圧されながら信仰を捨てず、磔になった26聖人などを指すのでしょう。私たちは生命だけを大切に思い、それよりも大切なものを忘れたために、逆に生命が軽んじられている、ということに気付くべきではないでしょうか。

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