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<<   作成日時 : 2007/11/06 18:14   >>

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相撲界の倫理
NPO法人IAIジャパン 理事長 八幡惠介
相撲はわが国の国技と位置づけられ、興行でありながら、行司は神官と同等の服装で土俵上に立ち、相撲は神事、といわれてきました。日本相撲協会は財団法人ですから、公益法人です。その公式サイトを訪問すると、協会の事業として九つがあげられています。しかし、サイトのどこを見ても理念、ビジョン、ミッションといったものは見当たりません。組織としての規範が示されているとは思えません。理事長の挨拶はありますが、それは歴代の理事長が個人的に述べているのであり、組織としての規範は見えません。時津風部屋の事故はこの部屋独特のものでしょうか。スポーツにスパルタ教育を取り入れることはそれほど異常なことではありませんが、近代スポーツでは暴力を振るうことは禁じられているのが普通でしょう。かつては運動部で、鉄拳制裁が行なわれるのは当たり前でしたが、野蛮な行為です。相撲部屋という閉じられた組織の中では大なり小なり稽古の態度が悪いと、暴力を振るうことが日常化している可能性はあります。
問題はそれが全て部屋の中で隠蔽され、誰も公にできないことです。協会自身の体質で開示よりも隠蔽、世間に知られたくないことは口をつぐむ、というところがあるように見えます。社会的に不正を許さない、という近代化が進む中、相撲界だけが閉じた社会で居られなくなった、と見るべきでしょう。今回の事故(事件というべきでしょうか)が朝青龍の処分に引き続いてのことだけに、前回のもたつきを繰り返さないとの決意からか、すばやい動きであったことは前進ともいえます。しかし、親方の処分でことは済むのでしょうか。ウェブサイトで見る限り、協会の目的はあくまでも興行であり、相撲の倫理や行動規範といったことには触れていません。協会の存在意義も力士の福祉が主たる目的に見えます。伝統的な相撲道というものがあるとすれば、そこには理念や、精神があるはずで、それを掲げてこそ透明で誰にもわかる世界が開けるはずです。このようなことはおそらく協会の理事会では議題に上らないのでしょう。相撲界にはリーダーシップが存在していない、と見てもよいかもしれません。理事長が元横綱というだけではそこまで期待はできないでしょう。
相撲は格闘技ともいえます。国技で神事、というのは相撲界の思い込みで、相撲ファンは格闘技として観ているのではないでしょうか。そこにはルールがあり、稽古はスポーツの練習と同じに行なわれるべきです。そこで暴力が振るわれている、という事実が判明した以上、全ての部屋は稽古を開示すべきです。陸奥部屋のように積極的に稽古を公開しているところもあるようです。公開の場で暴力が振るわれることはないでしょうから、このような部屋の規範は社会的に受け入れられるものであるかもしれません。スポーツである以上激しい訓練が行なわれることは当然で、そこに一定の約束事があってしかるべきでしょう。その約束事が部屋ごとに異なっても、それは差別化として許容できることかもしれません。しかし、ルール違反に対して暴力的制裁を加えることは許されるべきではありません。相撲道に近代化の光が射しはじめたとしたら、そこには理念、ビジョン、ミッションが何らかの形で示されてもよいのではないかと思います。外国人力士も多くなり、彼らが日本化すると同時に、部屋の運営にも国際的感覚を取り入れることもあってよいのではないでしょうか。

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